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パチモノ考察


パチモノとは、いわゆる偽物のこと。正規品に比べ安価で粗悪なものが多い。

偽物には、合法なモノと非合法なモノがある。
知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)を侵害した場合に問題になるのであるが、商標権以外は有効期限があるため、概ね登録から10~20年経過すれば消滅する。

そのため登録商標(メーカーロゴ)さえ使わなければ、まるごとコピーしても法的には問題なくなるのである。こういう合法なコピーも、時々摘発される非合法なコピーもひっくるめてパチモノと呼ばれている。

 先日、私は Helinox(ヘリノックス)というブランドのパチモノ椅子を購入した。俗に言うパチノックスというやつである。一応ヘリノックスの椅子の特許・実用新案、意匠、商標について調べてみたのだが、どうにも見つからない。おそらくこれだけパチモノが氾濫しているのは、商標権以外の知的財産権がないのだろうか。そもそも登録してないのかもしれない。そうでなければ企業はそれなりの措置をしてくるはずである。「類似品にご注意下さい云々」の文言すら見かけない。

ヘリノックスの椅子は素晴らしい。この構造を考えた人は天才だと思う。母体の会社はDAC社でありアルミポール製造のトップメーカーである。高品質で高強度なアルミポールがあったからこそできた椅子とも言える。

革や布の4隅を持ち上げて、ハンモックのように中央に座る椅子は古くからある。1938年に発表された「バタフライチェア」が有名であろう。今でも多くのメーカーがリ・デザインしたり、はたまたコピーして製造し続けられている。

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ヘリノックスの椅子はアルミポールの組み方が素晴らしい。張り地に掛かる体重を上手いこと分散してアルミポールで支えている。アルミポールの差し込みに無理がなく簡単に折りたたみできる。しかも半自動的に組み立てができるので誰でもあっと言う間に椅子になってしまう。久々に凄いと感動したプロダクトである。

ただ残念なことに私のはパチモノなのだ。本物はお店で触って座ったことがあるだけだ。これだけ素晴らしい椅子なら、設計者・デザイナーに敬意を払って本物を買えば良いのだ。しかし本物は1脚12000円位するから、貧乏サラリーマンには厳しい価格。3脚買えばスノーピークのアメニティドームが買えてしまう。うーん悩ましい。さすがの物欲オジサンでもすべてのモノに全力投球していたら破産してしまうのだ。


ロレックスのサブマリーナが買えないから、他メーカーの合法パチサブを買うようなものだ。近年の中国での加工技術向上と外販汎用ムーブメント性能の高さで、通常使用ならば本物と遜色ないレベルだ。もちろん並べて比較すれば違うけど、何も言わずに使っていればマニア以外は気にもしないし、普通に長く使える時計なのである。

では本物ヘリノックスとパチノックスは何が違うのか。
パチノックスが出てからしばらく経つので、随分と研究されている。細かいディテールの差はあるし、縫製や生地の違いもあるだろう。しかし一番大きな違いは、DAC社が開発した超軽量アルミニウム合金製ポール TH72M だろう。パチノックスは既存の一般的なアルミ合金を使うしかない。

それが耐荷重の差になるのだろう。ヘリノックス チェアワンの耐荷重は145kg、多くのパチノックスは100kg程度である。まあ普通の体型の人ならどちらでも同じで、ポールの強度を体感することは難しい。

高強度なポールは極地でのハードな環境で使ってこそ真価を発揮するのだ。既存のポールでは折れてしまうようなところでも、TH72M では折れないことに意味があるのだ。そんな普通の人には使いこなせない性能に男子はロマンを感じるのである。


もう1つマニアには大きな違いがある。それはオリジナルでないことだ。パチサブを何年大事に使い込んでもロレックスにはならない。ドヤるためにブランドを買うのではないとしても、パチモノである引け目を感じるだろう。個人差あると思うけど。特に私は時計が好きなので、特別な事情がない限りパチモノは買わない。もちろん非合法なパチモノは絶対に買わない。お金がなくても安くて良い国産時計がいくらでもあるのだ。

さてパチノックスはどうだろう。使って引け目を感じるか・・・実はそうでもない。開発者やデザイナーには申し訳ないなあとは思うけど。私の妻はヘリノックスの存在すら知らないので、安くて軽くて座り心地の良い椅子としか思ってない。多くの人がそうなのだろう。パチモノとは知らずに使われているモノが世の中にはたくさんあるのだ。

私は、道具の性能には興味あるけど、ブランドそのものにはあまりこだわりがない。別に Helinox と書いて無くても良い。ブランドロゴデザインも比較研究すると面白いし、カッコいいロゴもあるけど、商品にあまりデカデカとブランドロゴが書いてあるモノは好きではない。

これはチタン合金で軽くて錆びないんだよ。この剛性感と節度のある動きがたまらんよね。ヘリウムガスを通さないパッキンを使っているのだ。ぐふふふふふ。と道具をいじりながらスペックを想像するだけで満足なのだ。キモいよね(笑)どうせ全ての性能を引き出すことなんてできないのだ。

合法で使えるモノならば、中国製のノンブランドでも全く抵抗はない。目的を果たすためにきちんと道具が機能するならば安いに越したことはない。もちろん見た目がカッコいいことは大事である。


だらだらと御託を並べてきたが、一言で言えばお金がないのだ(笑)
本当はキャンプ用品にもこだわってオシャレキャンプもしてみたい気持ちもあるけど・・・似合わないよなあ。優先順位が下がるキャンプ用品はどうしても安価なパチモノに頼らざるを得ないのである。


お金のある方は、こんな商品があります。

Nordisk X Helinox 椅子 キャンプチェア One Size
 

ノルディスク × ヘリノックスコラボで、さらに2倍の価格。凄いね。ここまでくると性能ではない付加価値だから、お好きな人だけ分かる世界だよなあ。