今日もランクル日和

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モーラナイフを購入(後編)研ぎ直し・黒錆加工

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 前回の続き。

モーラナイフの研ぎ

セラミック砥石で研ぐ

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今回使う、シャプトン 刃の黒幕 は水に漬けておかなくても、濡らすだけで研げるけど、途中で乾燥してくるときがあるので、5分間ほど水に漬けておく。

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まずは、#1000 から研ぐ。
この 刃の黒幕 #1000 は目詰まりすることもなく本当に良く研げる。キング砥石とかホームセンターで安く買える砥石はあるけど、多くは柔らかく目詰まりしやすく減りやすいのだ。もちろん砥石として使えるのけど、刃の黒幕 #1000 使い比べると驚くと思う。面は比較的崩れにくいし、すぐに黒い研ぎ汁がでてくるのだ。普通に使った刃物の研ぎ直しくらいなら、あっという間に研げてしまう。

今回はダイヤモンド砥石を使ったあとなので、深いキズが入っている。そのキズが消えるまで、全体を研いでいく。

 

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写真が下手で申し訳ない。刃物は光を反射するから撮るのが難しい。

家具製作でつかう手工具は、カンナやノミなど。ほとんどは真っ直ぐの刃物である。だからナイフのように曲がった部分の研ぎは、あまり経験もなく得意でない。今回もどうやって研ごうか悩んだし思い通りにいかなかった。これも慣れだと思う。2、3本研げばなんとなく分かってくるはずだ。


砥石は、使い終わったら必ず面直しをしておく。

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鉛筆で砥石に線を書く。クロスハッチである必要もないが全面に書く。

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ダイヤモンド砥石とすり合わせる。無ければ他の平滑な砥石とすり合わせても良い。

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砥石が減って凹んでいる部分は、鉛筆の線が残るので分かる。この線が消えるまで、すり合わせると砥石は平滑になる。この作業はすごく大事である。平滑な砥石面は研ぎの基本なのだ。

 

 

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次は、#2000 で研ぐ。
包丁などはこの砥石で仕上げている。刃先まで研げていれば、#2000で充分切れる包丁になる。



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今回はマイクロベベルを落としてフルスカンジにしたので、刃の部分をベタっと砥石に当てる。倒れないように刃の上に指を置いて押さえる。

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左手も右手と同じように押さえる。これで前後して研ぐのだが、引く時に力を入れて削る感じである。押すとき力を入れすぎると角度が変わりやすい。ただしカーブした部分、特に先のほうを研ぐときは、砥石と当たる面積が小さいので、引き押しの力は同じくらいである。

粗い砥石はストロークが大きくできるが、細かい砥石は抵抗も大きくなりストロークも小さくなる。砥石の当たり面積が小さい、カーブした部分もストロークは小さくなる。動画があれば分かりやすけど、これは経験値と個人差が大きい。やってみないと感触は分からないし、私のやり方が正しい訳ではない。研ぎのセオリーを無視してはならないけど、研ぎ方なんて十人十色だと思う。

分かってると思うが、刃先には指を乗せないこと、指が切れます。ありがちなのは砥石に指が当たっていること、仕上げ砥なら大丈夫だけど #1000やダイヤモンド砥石は皮膚がすり切れて血が出ます。

 

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反対は研ぐのが難しい。私も苦労した。

 

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研ぎ汁は流してならない。この研ぎ汁を使って研ぐのである。

ダイヤモンド砥石か、細かい砥石をすり合わせると、泥のようなものが出るので、それを付けて研ぐと食いつきがよく研ぎやすい。

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直線部分と曲線部分の境界がうまく研げてない。このあともう一度研いでやり直した。



夢中で研いでいたので、写真を撮るのを忘れたが、このあと #5000 で研いだ。しかしピカピカと光ってしまうし、カーブ部分の研ぎムラが非常に目立つので、日を変えて仕切り直すことにした。ナイフ研ぐのも難しいね。


天然砥石で研ぐ

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悩んで結局、天然砥石に頼ることにした。
これは仕上げ砥石、京都の合砥である。どこの産地か忘れてしまったけど、適度に硬くて、まあまあ研げる石だ。天然砥石は山から切り出してくるわけだが、現在ほとんど閉山しているので、良い石(大きく均一で良く研げる)はとんでもない価格である。私のは安物だけど、天然砥石はどこでも売ってるわけではないし、個体差が激しいからデータ化できない。

天然砥石で研ぐと刃持ちが良く、半艶消しの仕上がりになるから好きだ。

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合砥もあまり吸水しないので、5分間ほど水に漬けておく。

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ダイヤモンド砥石とすり合わせて、泥を出しておくと研ぎやすい。

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やっぱりカーブした部分の刃先を研ぐのが難しい。何度かやり直す。コピー用紙を切ったり、木を削ったりして切れ味を確認する。コピー用紙はスパスパ切れるし、小さな木はカッターナイフ並みに切れる。時間をかければこれ以上になるだろうけど、細工するための刃物ではないから適当でいいのだ。

とは言え、趣味のモノは見た目も大事であるからなるべく研ぎムラがないように仕上げたのである。

 

黒錆加工を施す

モーラナイフの黒錆加工記事は、ネット検索するとたくさん出てくる。私もそれらの記事を参考にした。ほぼ語り尽くされているけど、私なりに気づいたことを書いてみる。

黒錆加工液をつくる

とりあえずなんの知識もないので、ネット情報をマネすることにした。

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水500ccを沸騰させて、紅茶パックを4つ投入。沸騰させたまま3分間煮だす。

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紅茶の3割(150cc)のお酢を入れる。台所にあったミツカンのカンタン酢を借用。

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ペットボトルをナイフが入る大きさに切断する。

研いだナイフを中性洗剤でよく洗ったあと、パーツクリーナーで完全に脱脂する。油分が残っていると黒錆が定着しないようだ。

黒錆加工液に漬ける

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ナイフ投入。
後述するが、黒錆加工液はケチらずにナイフの柄が浸かるくらい(刃の末部から3cm以上)入れたほうがいい。理屈はわからないけど、上澄み液は反応しにくいのである。泡が立つからかもしれない。

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1時間ほど経過。
全体が黒くなっているようだが、エッジ部分など黒くなってない部分がある。砥石の粒度を上げて、ピカピカに仕上げると黒錆が付きにくいようだ。黒錆加工すると艶消しになるので、あまり気合い入れて光らせても仕方ないのだ。

大失敗!

夜中に作業していたいので、眠くなってそのまま放置して寝た。
おおよそ4~5時間くらい経過したところでナイフを出した。ムラもなく良い色だった。朝作業していたので、肝心な写真を撮るのを忘れて申し訳ない。

ネット情報通り、水洗いして表面をこすらないように、しばらく放置して乾燥させる。これがいけなかった。水を張った部分が薄く錆色(茶褐色)になっているのだ。しかも乾燥したところはムラになっている。あわわわわわ。ダメやん。

あわてて水を拭き取るけど、時既に遅し。ムラムラである。茶褐色の部分をスポンジでこすってみたけど、エッジ部分の黒錆は剥がれてしまうし、さらにドツボである。もう見てられないわ・・・・はああ。

こんなときもあります。
失敗することも大事だよね。失敗したときは凹むけども。

ダメ元で、再度ナイフを黒錆加工液に入れて待つことにした。余分な黒錆を拭き取り、パーツクリーナーで全体を脱脂したあとに黒錆加工液に入れた。これでムラが残るようなら、最初から研ぎ直すしかない。

再度、黒錆加工液に漬ける

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さらに15時間経過。
おおおっ!!真っ黒じゃん。
ムラはどこ行ったかかな?・・・・ん?よく見ると分かるけど、全体が真っ黒に染まることによって目立たなくなってるのだ。

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ちなみに黒錆加工液もこれだけ色が変わる。


今度は、もう少し大胆に素早く作業する。
まずはナイフについている黒錆加工液を水で流す。このとき思い切って指で軽くこすりながら洗い流してみる。少し黒錆が指につくのでなるべくエッジには触らないようにする。

ナイフを洗ったら、すぐにウエスなどで水分を拭き取り乾燥させる。

おそらく短時間の漬け込みだと黒錆層が薄くて触ると剥がれるおそれがあるのだろう。しかしよく考えるとそんなヤワな層だとナイフを使っているとすぐに剥がれてしまう。長時間漬け込んで定着した黒錆は触ったくらいでは剥がれないのである。これはナイフ下地の仕上げ具合でも変わってくるだろう。

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うっほおおおお。黒い!黒いよ!!
言葉にするなら、ガンメタルが近いかな。艶消しでめっちゃカッコいいやん!こりゃみんな黒錆加工したがるわけだわ。

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エッジは黒錆が定着しにくいし剥がれやすい。刃先は使っていると剥がれるだろうから、あまり気にしても仕方ない。

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刃元が上手く染まってなかった。前述したけど、黒錆加工液はケチらずに柄が浸かるくらい(刃の末部から3cm以上)にしたほうがいい。一応刃の根元まで液を入れてたけど、鉄と反応すると泡が発生して、その泡がついて悪さをしたのだと思う。

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初めてなので、細かいミスは今後に活かせばよいだろう。とにかくこのカッコいい仕上げに満足なのだ。黒錆で切れ味が落ちると思っていたが体感できるほど変わらなかった。もう少し黒錆について勉強しておこう。



黒錆が定着しなかった部分があるので、油を塗っておく。というか私は食べ物を切る刃物以外、全て油を塗っている。(カッターナイフなどの使い捨て刃物は除く)

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ずっと椿油を愛用してる。変な匂いもしないし油膜切れしない。油壺を使うと塗りやすい。もう先端がボロボロだけど。

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油を塗るとわずかに艶が出る。塗らない状態のほうがカッコいいけど、仕方ない。ムラも少し目立つようになる。

 

あとは使うだけ

ひとまずこれで完成である。実際につかってみて刃先の耐久性を検証しようと思う。フルスカンジに加工するのは、誰にでもおすすめできるようなことではないが、黒錆加工は簡単なのでやってみると良いだろう。ただしステンレスには施すことはできない。元に戻すのは困難なので、鉄のメタリック感が気に入ってる人はやめたほうがよい。

黒錆加工は少々失敗しても染め直しができる。薄くすることはできないけど、濃くして全体を染め直すことはできる。少々の研ぎムラは黒錆で消えてしまう。研ぎの粗隠しにも良いのだ(笑)