初めてのマルチツール
歳をとると昔の記憶がぼやけてきます。断片化してどうしても思い出せない部分が増えてきます。
確か私が中学生か高校生の頃、アメリカ出張に行った父親にレザーマンのマルチツールを買ってきてもらったのです。レザーマンは雑誌か何かを見て存在を知ったのだと思います。住んでいた田舎町にレザーマンなんて売ってないし、当然ネット通販もありません。だからお土産に買ってきてもらったレザーマンを見てかなり嬉しかったことを覚えています。
当時日本では珍しかったブリスターパックでした。なんて開けずらいパッケージなんだろうと思いながらカッターナイフで開封したような記憶があるのです。
機械いじりが好きだったのでプライヤーは持っていたけど、自分のナイフなんて持っていませんでした。まあカッターや切り出し刀はあったけど、ナイフは大人の道具という感じがしていたのです。
レザーマンは変形するからカッコいいよね。男の子が大好きなギミックですよね。何度も出し入れしては眺めていました。結局オートバイに乗りだすまでは、大事に机の引き出しにしまっていただけでした。
オートバイツーリングやキャンプの荷物には必ず入れていました。そんなに頻繁につかう道具ではないけど、ボロいオートバイを直すときとか、熱いものを掴むときとか、缶切りとか・・・むしろ使う機会があると嬉しかった感じです。得意げにケースから出して変形させてさ(笑)
大切な道具を失くしたショック
社会人になってからもこのレザーマンを大事に使っていました。ハサミとダイヤモンドヤスリが追加されたPST2、機能が増えたスーパーツールや初代ウェーブも発売され、住んでいた県内のお店でも買えるようになりました。
なにしろ丈夫につくられているので、普通に使っていれば壊れることがありません。周りの人が持っていた新しいモデルもカッコいいなあと思いながらも自分が使い込んだレザーマンに愛着がありました。黒光りする革ケースが最高と思ってました。
正確なことは忘れてしまいましたが、ある時レザーマンを紛失してしまったのです。どこかに置き忘れたのが盗まれたのか分かりませんが、私の手元からレザーマンが消えました。
たかが道具ですけど、そうとうな喪失感がありました。当時の価格は8000円くらいだったので、社会人の私は買い直す財力もありました。しかし使い込んだ同じレザーマンは手に入りません。なんだかピカピカの新品を買う気になれなくて、結局その後マルチツールを買うことはありませんでした。
私はシングルタスクの人間なのです。複数のことを同時に行うのが苦手です。もちろんできないことはないけど、ひとつのことに熱中しやすく、その間は他のことを忘れてしまいます。だからモノを失くしやすいのです。大切にしているモノでもその間は忘れてしまうのだから困りものです。ジッポーや傘などいくつ失くしたことか・・・
20年ぶりの再会
いつも楽しく読まさせていただいているブロガーさんがこんな記事を書かれていました。
うおおおおおっ!カッケーー!
黒染マジカッケー!
写真が上手すぎることもあります。でもやっぱりマルチツールはカッコいいことが正義ですよね。使える使えないも大事だけど、所有していてワクワクできることが大事なのですよ。
あああっ!レザーマンが欲しい!(笑)
即ネット内検索
すぐにレザーマンを調べ探し始めたのですが、今ではかなり多くのモデルがあり、廃盤になったモデルも合わせると、とても全てを把握できません。
色々悩んだのですが、今のモデルは多機能で高価なモデルが主流です。デザインも機構も進化して、垢抜けた使い勝手のよい道具になっています。
でも・・・私の脳内には初代レザーマンPSTが刷り込まれています。
やっぱり無骨でシンプルな私の原点なるモデルがいいなあ。
ついに再び手にすることに
レザーマンPSTはとうに廃盤です。2018年に限定5000本で初代PSTが復刻されたようですが、もはやコレクターズアイテムで非常に高価です。
実は廃盤になってもレザーマンの販売数はかなり多いので、中古市場でも流通数が多いのです。今でも初代のデッドストックが出てくるくらいです。ハードに使い込まれた個体もあるけど、購入してからずっと収納したままという状態の良い個体も意外に出てきます。
ある程度、落札データを探って中古市場を勉強した後、良さそうな個体を落札しました。出品者曰く、工具の出し入れしかしていない、ほぼ未使用品らしいです。
ああ。懐かしいなあ。
手にすると昔の記憶があふれ出てきます。
私のレザーマンはコレです。
さて道具自慢
この革ケースも良いのです。革の質はそれなりだけど、使い込むと良い色になります。真鍮ホックで止められた蓋も開けやすくてサッと出してサッとしまえます。
真鍮ホックとリベットには緑青が発生してたので磨きました。
それでは。オープン!
この収納したカタチが、レザーマンの見どころですよね。
特にこの初代モデルは、スリムで閉じたとき真四角に収まり美しい。後年のモデルは優れた機能と引き換えにこのシンプルさが失われます。
正直、プレス成型の本体精度はお世辞にも良いわけではなく面も歪んでいます。しかし安価で無骨で丈夫な道具なので気になることはありません。
このギミックがたまらんよね。
しかし動きが固い。間違いなく使われてない個体です。この動きの渋さはは女子供を拒否する男の道具という感じがします。使っていればそのうちにスムーズな動きになってきますけどね。
じゃじゃーん!
このプライヤーが使いやすいのですよ。下手なラジオペンチよりも精密な作業ができます。ただ力が必要な作業のときは手のひらが痛くなるけどね。そこら辺はタオル巻くとか臨機応変に。
ハンドルに収納されるのは、ヤスリ・マイナスドライバー小・プラスドライバー・缶切り(栓抜き)、ナイフ・キリ・マイナスドライバー中・マイナスドライバー大
やたらマイナスドライバーが多いけど、スクレーパーとして使うこともできる。基本設計は1980年だからその頃はまだマイナスドライバーの需要も多かったのでしょう。
もう缶切りも栓抜きも日本では出番ないよね。使用済みカセットコンロ缶のガス抜きに使えるかな。道具を使うのもアイデア次第ですね。
ハンドル端部に切り込みが入り板バネのようになっている。弱いけどこの板バネで工具を押さえることで一応ロックが掛かる。ただし後年のモデルのようなガッチリ固定できるロックではないので、力の掛ける方向を間違えると簡単にロックが外れてしまいます。
これからの私とレザーマン
思い出のレザーマンPSTのデッドストックを購入して大事にとっておくこともできました。しかし私は使ってこそ道具、使い込んだ道具がカッコいいと思っています。
それにデッドストックを大事に保管すると、次から次に欲しいモデルが出てきて、増殖するに決まっているのです(笑)使っている道具は必要数を超えることはありません・・・ないはずです・・・きっとそうだよ・・ね(笑)
これから色んなところに持っていこうと思う。頻繁に使う道具ではないけど、いざという時の強い味方になってくれるはずです。そして今度こそ失くさないように気を付けよう。私が死ぬ時まで愛用道具の中に残しておきたいモノなのです。