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私とモノづくり【第三話】

知的財産権



欲しいモノを自分のためだけにつくるのであれば問題はない。しかし量産して他の人に売るなら、知的財産権についても知る必要がある。私は素人なので以下はWikipediaから引用する。

知的財産権とは、著作物(著作権)や発明、商標などといった無体物について、その創出者に対して与えられる、民法上の所有権に類似した独占権である。その性質から、「知的創作物(産業上の創作・文化的な創作・生物資源における創作)」と「営業上の標識(商標・商号等の識別情報・イメージ等を含む商品形態)」および「それ以外の営業上・技術上のノウハウなど、有用な情報」の3種類に大別される

言葉で正確に書くと難しい。わかりやすく言えば模倣品(偽物)をつくって販売すれば、取り締まられ処分されるということ。

模倣品は真似をする意図を持ってつくられたモノ。小規模でのモノづくりで主に問題となるのは商標・意匠権だろう。

商標とは企業のマークや商品・サービスのネーミングである。つまりロレックスやランドクルーザーなど商標登録された商標を無断でつかうことはできない。紛らわしい商標もつかえないし、当然その商標を新たに登録することもできない。最初に出願登録した者が更新し続けるならば永久的に保護されることになる。また商標権の効力が及ぶ範囲は、マーク及び指定商品・役務が類似する範囲までとある。つまり世の中全てのモノに対して効力があるわけではなく、区分された範囲内だけだ。例えばランドクルーザーは区分12(乗物その他移動用の装置)と区分25(被服及び履物)で登録されている。
LAND CRUISERと書かれた衣料をよく見かけるが、トヨタの許可を得ていないものは全てアウトということである。いまのところトヨタがスルーしてくれているだけなのだろう。

意匠権は、デザインを守る権利であり、特許庁に登録されて有効となる。意匠とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものとされている。わかりやすく言えばデザインをコピーするなということ。大手企業は製品を登録しているので、同じデザインのモノをつくって販売することはできない。
日本国内では意匠登録出願の日から最長25年まで有効である(2020年以前は最長20年)権利の延長はないので、リプロダクト・ジェネリック品と呼ばれるレプリカが、どのジャンルの工業製品にも存在する。有名なのはハンス・J・ウェグナー作のYチェアだろう。カール・ハンセン&サン社が正規販売していたのだが、中国でつくられた半値以下のYチェアレプリカが市場に溢れていた。車と違い比較的簡単にコピーできるし、時計のように商標を確認する人も少ない。そもそもカール・ハンセン&サン社を知る人は少なく、Yチェアだけが有名で独り歩きしていた感じだったと思う。

しかしYチェアが立体商標に認められると、蜘蛛の子を散らすようにYチェアのレプリカは無くなったのだ。立体商標とは立体的な形状からなる商標であり、
自他商品識別力を有するモノである必要がある。つまりそのモノを見て何の商品か認識できること。Yチェアは業界にいる者ならばほとんどが知っている椅子であるから登録が認められたのである。立体商標は通常の商標と同じく更新し続ける以上は永久的に保護される。

感覚的な話になるが、オリジナルへのリスペクトが大事だと思う。意匠権が消滅すれば、デザインは模倣できる。商標をコピーするのは論外だけど、オリジナルが生産終了したモノのレプリカをつくるのは有りだと思う。マニアは高騰したりレア過ぎて手に入れることができないオリジナルの代わりに愛でることができるだろう。またオリジナルのデザインを転用アレンジした作品もよく見かける。いわゆるオマージュであるが、最近はポジティブイメージのあるオマージュという言葉を利用して現行生産品の忠実なコピーを売り捌く輩も多い。儲けるためだけのコピーはマニアが見れば分かるのだ。

一流のデザイナーでも一からオリジナルのデザインを生み出すのは難しい。過去の優れたデザインを、さらなる最適解を求め再デザインする方法をリデザインという。安易なコピーではなく、過去のデザインを汲み取り理解し分解再構築して新しい最適解を求めるのである。デザインの流れは見えるが新たなデザインとなる。

私のような素人はこんな崇高な考えやデザインを生み出すことはできない。ただ人のモノを盗まないように心がけるだけである。アイデアが思いついたらネット検索して同じようなモノがないか調べる。モノをつくるときは似たデザインにならないようにする。モノを商業的な視点で理解することも大事なのである。