前回のつづき
細部収まりを考える
まずは、すべての部品を図面化する。私は仕事でCAD(製図ソフト)を使って図面を書いているので、このくらいの部品を計測して図面化するのは朝飯前なのだ。
記事圧縮のために、これらの図面は最終図面である。図面書いて組み合わせてみて、収まるか検討して、干渉する部分があれば寸法を考え直すことの繰り返しなのだ。
組み合わせを考えるときはこんな感じ。
前回、文章で書いたハンドルロックキーの収まりが分かるだろう。元々、頭穴のセンターと本体キーのセンターは揃っていたが、オフセットして(ずらして)ある。組ネジの軸に入る部分(鍵頭)の厚さは2mmだけど、本体キーの直径は6.7mmあるから、隣接するUSBメモリーと普通ドアの鍵に干渉しないだけ、オフセットしてある。
同じくスピードパスプラスもオフセットしてある。真ん中に軸がくると、マルチツールのキーリング用穴に干渉するためだ。
順番も悩んだけど、キーリングがつくマルチツールは一番外が良い。USBメモリーとハンドルロックキーは短いので外側のほうが出し入れがしやすい。あとは使用頻度の高い順番に外側から並べた。
さらに一つ一つの部品を動かして、干渉するところを確認する。
スピードパスプラスとマルチツール以外は180°以上回転する。しかしマルチツールにはキーリングが付いて、スピードパスプラスと干渉するため可動域が限定される。しかし使用することに問題はない。
この時点で、全容が理解してもらえたと思う。
KeySmart と違い、回転軸は1つだけであり。側の連結板兼カバーはない。実際に KeySmart を使ったことはないけど、あのカバーがあると鍵が出しにくい気がするのだ。あのカバーがカッコいいのだけどね。
私はずっとカラビナ方式だったので、鍵がむき出しなことに抵抗はない。むしろ裸のほうが使いやすいと思っている。
あとはひたすらつくるだけ
加工メニュー
・USBメモリーとスピードパスプラスの軸穴作成
・ハンドルロックキーの頭をつくり直し
・普通ドアの鍵の軸穴拡大
機械いじりや金属加工が好きな人なら、そんなに難しい加工ではない。私は工業高校出身なので、経験値に任せて加工ができる。
USBメモリーとスピードパスプラスの軸穴作成
どちらも穴の形や大きさが全く違う。穴のサイズを変えるには色々な方法が考えられる。USBメモリーは円形の穴なので、旋盤を使えば樹脂や金属で簡単にカラーをつくることができるが、旋盤は持ってない。手加工でつくる時間も根性もない。
こういうときに便利なのがコレ
MUTOSYOUJI [ 武藤商事 ] プラリペア ブラック PL16B【HTRC3】
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工作や模型好きな人には有名な商品だ。簡単に言えば、粉に液をたらすとカチカチのプラスチックになる実に都合の良いモノである。詳しくは下記アドレス参照。
単純に大きな穴や変形穴をプラリペアで埋めて、軸穴を開け直せばいいのだけど、今回は頻繁に可動する部分なので、さらに一工夫する。
まずは直径6mmの真鍮パイプを、USBメモリーとスピードパスプラスの厚さに切断する。
直径6mmの真鍮パイプの内径は5.1mmなのである。これが前回、組ネジの軸太さを選んだポイントなのだ。組ネジの軸に真鍮パイプがぴったり入るのである。
少し長めに切断したあとに、ヤスリで仕上げる。
プラスチックワッシャーで挟むので、あまりシビアに長さを揃える必要はないけど、一応ノギス計測レベルで長さを調整する。
丸ヤスリで、真鍮パイプが入るように削っていく。削っては合わせの繰り返し。
こんな感じに加工。
つぎはプラリペアを使う準備。加工した穴と真鍮パイプをきれいにして脱脂する。
テープを貼り付けて、プラリペアが漏れてはみ出さないようにする。
反対側は、周囲と真鍮パイプだけテープを貼り付ける。
プラリペアの粉を、穴の深さの1/3ほど入れる。
液を付属のニードルをつかって注ぎ込む。
同じことを3回に分けて繰り返す。
5分で硬化するが、待っている間にUSBメモリもプラリペアで埋める。
真鍮パイプの片面にテープを貼る。
USBメモリーの穴にテープを貼る。(片面は穴の全面、反対側は穴の周囲のみ)
真ん中に真鍮パイプを貼る。注に浮いたようになる。
USBメモリーと真鍮パイプの間に、プラリペアの粉入れて、液を流し込む。これも穴の深さの1/3づつ繰り返す。
硬化したらテープを剥がして、余分なところを削る。
ハイ。完成。
スピードパスプラスも同様に完成。
長くなってきたので今日はここまで。
次回は、ハンドルロックキーの頭をつくり直し
乞うご期待。