今日もランクル日和

40代からはじめる素敵なランクル生活

私とモノづくり【第一話】

モノづくりの工程



モノづくりは人によってプロセスが異なるだろう。
私の場合は大きく分けて以下の5工程になることが多い。

動機 → 構想 → 設計 → 試作 → 製作

動機

私のモノづくりは物欲から始まる。欲しいモノを手に入れる。売っているモノならば資金調達することを考える。売ってないモノは様々な方面で探しまくるのだが、どうしても見つからない場合は自分でつくるしかない。
一からつくるモノもあるし、使用中のモノを改良することもある。どちらにしても自分の欲しい機能が明確であることが多い。
この時点での気持ちの大きさと経過時間が重要になる。欲しいという気持ちがしぼんでしまうとモノづくりのモチベーションも無くなってしまう。だから欲しいと思ったらすぐに動き出す必要がある。

構想

欲しい機能をすぐに形にすることはできない。自分の知識や経験を総動員するのだが、この段階ではおぼろげなイメージしかない。ふとしたきっかけでアイデアが浮かぶこともある。カバンの中にはメモ帳があるので、とりあえず記録を残しておく。もちろん没ネタも多いけど、この段階でできるだけ枝葉を伸ばしておくと後の設計が楽になるのだ。
私のモノづくりは、例えば粘土を捏ねて一から十まで自分で製作することはほとんどない。こういうモノづくりは生まれながらのセンスが必要になるからだ。
私のモノづくりは既存のモノの組み合わせに過ぎない。残念ながら新しいモノをつくる能力はないのである。自分の欲しい機能を得るために、必要なモノを市場から探し出すことが大事な作業となる。素材の知識や使えるかどうかの見立てが必要になる。私の能力が長けているのはこの選定ができることだと思う。
自分の身の丈も考慮しなければならない。この段階で加工内容も検討する。自分でつくれるか、量産できるか、専門業者に委託できるかなど、完成までのシナリオも想定しておくことが重要である。

設計

工業高校出身なので図面は16歳の頃から書いている。立体を平面図面に起こしたり、平面図面から立体をつくることも得意である。目で見るだけで大体の寸法も分かってしまう。まあ同業者が見たら大したことない技術なのだけど、石の上にも三十年なのである。
簡単なモノならばすぐに図面化する。複雑な形状ならボール紙や木材などで簡単な模型をつくる。取り付ける部品などがあるなら計測する。スケール・ノギス・コンベックスは私の神器だ。計測は設計の基本である。正確に測ることはもちろん、基準の取り方が重要になる。長くなるので詳細は省略するが私は計測魔ということである。
図面を書くときは、部品同士の収まり、最小限の構成で最大の機能を得ること、素材の特性、コストなど考えることは非常に多い。必要な機能を得るために、各部寸法や必要部品を決めていく。完璧な設計なんて存在しないが、模索し続け限りなく完璧に近づけていく地味で気の遠くなる作業である。
一品物を自分の思うままに制作するなら図面は不要なことも多い。しかし量産する場合、加工を自分以外の者に頼む場合は図面が必要になってくるのだ。

試作

設計が煮詰まってきたら試作してみる。実際に手を動かしてつくってみないと分からないことも多い。設計段階で想定していたことの答え合わせをする。経験値がモノをいう作業だと思う。製作方法を考えたり、細かい収まりの確認をしたり、よりよい形や仕上げを模索するのである。
私は実際の製作が上手な方ではない。確かに長年の経験はあるけれど、世の中には凄まじい技術を持った職人いるのだ。比較すると本当に稚拙な技術だと恥ずかしくなる。しかし試作品の上手下手はあまり重要ではない。どれだけ試行錯誤することができるか、この段階で不具合や欠点を解消できるかが大事なのだ。ここで得たデータを再度図面に反映させる。また試作するを繰り返して完成度を高めていくのである。
一番楽しい作業だ。試作に没頭するとランナーズハイのような状態になって、飯も食わずに長時間集中することができる。これは子供の頃からである。しかし量産して同じモノをつくるのはあまり得意じゃない。試作(初見)だから楽しいのである。

製作

一品物ならば完成させて終わりだが、量産化する場合はさらに熟考し、設計・工程の見直しをしなければならない。無限に時間があるわけではないので、私が手加工で量産するのも限界がある。それに自動機械や職人に任せたほうが製品の品質も上がるのだ。他の人にお願いするためには、専門職の共通言語である図面が必要になる。もちろん他の方法もあるけれど図面の方が話が早い。自分が加工しないと製品になるまで不具合に気づかないことも多い。相互のコミュニケーションが重要になるが、専門職人と阿吽の呼吸をとるためには、こちらの技量もある程度必要になる。私にとっては一番精神力が必要な工程である。

 

色んなモノづくりテーマで不定期連載する予定です。
乞うご期待!